完全置換型人工心臓の埋め込み実験は12月24日に延期。準備を整えるのに時間がかかる。
きのうとおとといは、今年東京大学を退官された I 教授がパーツの作成にきていた。ドクター A の研究室の前任のBOSSである。今は東北大学で研究を続けている。単身赴任だそうだ。だから鍵をたくさん持っている。埼玉の自宅の鍵と、仙台の家の鍵、東北大学の研究室の鍵と東京大学の鍵。「多重人格者のパラレル生活のようですね」とボクが言うと I 教授は笑っていた。
I 教授と一緒にクリーンルームに入った。クリーンルームには白衣と帽子を被ってエアシャワーを浴びてから入る。青白い光のSFチックな作業部屋だ。ここにこもって I 教授は、人工心臓と生体の血管をつなぐチュープ類をつくる。樹脂膜を縫い合わせたり、シリコンを整形したり、ひとつひとつ手作業でつくる。この部分のパーツの作成が I 教授にしかできない技なのだ。体内に埋め込んで、動脈と静脈をつなぎ合わせて、無理のかからない位置と形態を維持しなければならない。耐久性も求められる。I 教授はいままでに百個ほどこのパーツをつくってきた。職人と同じようにカラダで覚える技なのだった。I 教授は「早く後継者に育って欲しい」と呟いた。
小柄な I 教授の眼光は鋭い。笑顔は柔らかい。
撮影に対して「協力を惜しみません」とやさしく言ってくれた。1960年からの人工心臓研究の記録フィルムも提供してくれた。スポンサーもテレビ局もついていないインディーズドキュメンタリー製作に賛同し協力するという、オオラカで頑強な意志をこのプロジェクトは持っている。
今日もこれから本郷の研究室に行く。11:00AM。
今朝、能楽関係のEメールも来ていて、こちらも年内の動きがまだありそうだ。梅若六郎さんのアメリカ公演に二週間同行していた能楽研究家・増田正造教授からのメールだった。帰国早々、次の行動を開始するらしい。この方もかなりの頑強者である。
かあ と いも