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<title>みち潮のピコ製作日誌</title>
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<title>867_アルク</title>
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<description>アルクは歩いている人を見るのが好きだ。人が歩いている姿は猿と似ていて、邪心がなく無垢な生き物と思えるからだ。アルクは思えることが好きだった。そう思えることを思って楽しむ。それで充分楽しかった。でも、実際はそうでもない。どんな人でも欲はあるし、一攫千金に憧れている。主役に抜擢されたり宝くじに当たることを夢みている。その人はもう猿じゃない。歩く姿が猿に似ていても猿じゃない。人間は人間になってしまった。それは人間がそう望んだからなのだろう。アルクにはそう思えた。猿の時代に人間になりたい人間になりたいと願いながら歩いていた進歩的な猿が人間になったのだろうとアルクには思えた。でも、あの時のあの猿が想像した人間はこんな人間だったろうか。アルクは立ち止まって考える。でも、すぐにまた歩き始める。猿だから詳しいことはよくわからなかったんだろう。アルクは歩きながらいろいろなことを考える。...</description>
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<title>866_揺れるマナザシ</title>
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<description>あの時ボクは地下鉄のホームにいたんだ。なんだか様子が変だぞ、ザワザワしているぞ、とは思ったけれど、何が起きたかスグにはわからなかったのさ。足下がふらついてヨロケそうになったけど目眩だと思ってヒタイに手を当てたよ。その時さ、駅員さんの声が聞こえたのは。「地上に避難してください!」ってね。ボクは走らないで早足で階段を上がったよ。開きっぱなしの改札を群衆と一緒にウンショと抜けて銀座大通りに飛び出たんだ。たくさんの買い物客が車道の真ん中に集まって繋がらないケータイを握ったまま呆然としていたよ。あれから三ヶ月が経とうとしている。「月日が発つのは早いねえ」というサゲで語り終える落語噺もあったけど、時間は主観的だとつくづく思うな。あれからどれくらい経ったのだろうか。時間の長さをウマク掴めないんだ。ひとつひとつの出来事が頭の中でちゃんと整列してくれないんだよ。幼稚園児から大学生までが一緒になって運動会をやっている晴れた日曜日の杉並区の小学校の午後三時みたいな心境なんだ。騒がしいまま日が暮れそうで眩しい西日が切なくて、泣きたくなって長く伸びた校舎の影で、一人ぽつんと佇んでいる自分の姿が見えるんだよ。酸化した珈琲の醤油の匂いが許せないように、明日に希望なんて持てないゲル状の嫌悪が脇の下からヌメヌメと滴り落ちる今日の気分を告白するよ。梅雨が明けて夏になれば世界が変わると思いんこんでいるのだから心配されなくてもいいんだけどね。楽観の夕焼けが真っ赤に燃えているのがちゃんと見えているからダイジョーブ。...</description>
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<title>865_さめても胸のさわぐなりけり</title>
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<title>864_春なのに</title>
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<title>863_モノが言いにくいね。困ったね。</title>
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<title>862_がんばるニッポン!</title>
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<title>861_ホッペタに日の丸つけて街を歩こう!</title>
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<title>860_雨が降っていると思っていたのに雪になっているよ。</title>
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<description>考えても考えても考えてもヨクワカラなくて、いま何を考えているのかもワカラナクなるから、何を考えなきゃいけないのかを考えるようになる。考えて考えて考えて、やっぱりワカラナい。 窓を見ればワサワサと雪が降っている。これでもかこれでもかと雪が落ちてくる。...</description>
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<title>859_シルシの無い製品。</title>
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<description>スッキリと晴れた冬の朝の出来事なんだ。道端で倒れている人がいたから声をかけてみたよ。でもね、返事はなかった。息はしているし苦しがってもいないから、ボクはそのままにして立ち去ったんだ。六本木の舗道では、酔っぱらいがデロンと酔いつぶれているし、宿無しさんがネットリ安眠していることなんてフツーだからね。でも、気になるね。大丈夫かなあの人、って思うよね。でもボクは何もしないでトコトコ歩いて行っちゃったよ。オトコの人だったしね。空は見事に青くって、空気は冷たいけど頬にあたって気持ちいいから、ボクはトコトコ歩き続けたんだ。そんな毎日。...</description>
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<title>858_Stingのスウィングはチクリと刺激的。</title>
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<description>いやいや参ったね、日本武道館が波動に揺れたよ。それもユッタリとおとなっぽくね。ヨイ音楽はヨイね。気持ちを揺さぶるね。今なら何でも許しちゃうよ、そんな気分だよ。でもね、Stingのスウィングは、ただ甘ったるくて気楽な快感ではないんだ。肝っ玉を鷲掴みにされてモミモミされて「そんなことオヨシニナッテ」って悲鳴をあげたくなっちゃうような琴線に触れる刺激なんだ。ワカッテもらえるかな。「ぶってぶって、もっと激しくぶって」的なマゾフィスティックな粘膜な感性がヒリヒリして気持ちいいんだよ。魂はどこか遠くに連れて行かれちゃうけど、立っているカラダは膝がユルユルで力が抜けていたよ。というよりもカラダのどこにも力が入っていなかったな。なのに腹の底だけビシッと決まり続けていたよ。２時間を超えるライブだったけど時間感覚はナクテ浦島太郎状態を過ごしたんだ。気がついたら白髪で白ヒゲだったよ。ホントだよ。それに、前の席の英国青年とOL風のカップルがぶちゅぶちゅkissしてても(ちょっとしか)腹が立たなかったしね。だって、そんなことより大切なことがあるんだ、ってことに気がつくんだよ、Stingのスウィングを浴びていると。それはね、生きているヨロコビだよ。生きているヨロコビはチクリと痛いけど、痛いのがヨイんだってことに気がつくんだ。ヨイ痛みってのがあるんだね。勉強になったよ。...</description>
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<title>857_メはクチほどにモノを言うかしら、ミミはどうなのよ。</title>
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<description>どうして[耳なし芳一]はメリメリッと耳をちぎって持って行かれちゃったんだろう。目の見えない芳一の、演奏して語る琵琶法師の、大切な感覚器官である耳を取り上げるなんて残酷なハナシだよね。琵琶法師って危険な仕事なんだね。それにしても怨霊は怖いね。 モノを語るのはクチだけじゃないらしいよ。いざとなったらお金や腕力もモノを言うからね。[耳を澄ませば] アチコチから、いろんなカタリが聞こえてくるんだって。どう、聞こえる? でも、芳一は澄ます耳を取り上げられてしまった。かわいそうな芳一。沈黙の琵琶法師。...</description>
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<title>856_トモダチ百人できるかな?</title>
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<description>キッパリと晴れた冬の朝がボクは好きだ。寒いのは嫌いだけど冬の朝にはイサギヨサがある。自堕落で優柔不断なボクにだってイサギヨサに憧れる感受性くらいは宿っているのだ。 映画を観る前に、麻布十番に新しくできたパン屋さんでパンを買おうと思って行ったら開店前で買えなかった。10時開店で9時50分に行ったのに、10分前だからってアッサリ断られたし、パン屋さんなのに10時開店は遅いだろう、と、一応ハライセを言っておくぞ。 映画はデビッド・フィンチャー監督の[ソーシャル ネットワーク]を観た。一気呵成にラストまで駆け抜ける早口ムービーなのに、気がついたら重たい荷物をワンサカ負わされちゃっていたよ。やっぱり映画は観てみないとわからないね。天才青年のサクセスストーリーではないし、ネット社会の内幕物でもないんだから。じゃあ何だと言われれば、ウルセー自分で考えろ、って、胸を張って言いたくなる映画だったよ。つまり、ボクはこの映画をトテモ気にいったんだな。シナリオも演出も演技も撮影も編集も音響も、新しい試みをタクサンしていると思うけど、これ見よがしなところが全然ないんだ。これはスゴいことだと思うよ。技術をひけらかさない表現ってとってもムズカシイ筈さ。主人公は意地っ張りで頭の切れるマーク青年ということになっているけど、群像劇だよ。ガールフレンドもプロジェクトメンバーもライバルも大人たちも、みんな自分の人生をムンムン生きている。ネット社会はバーチャルなんかじゃチャンチャラないんだよ。感情むき出しで人間同士がガチガチぶつかり合う格闘劇としてドラマを描いちゃってるんだ。そこが素晴らしいねデビッド・フィンチャーは。やっぱり、デビッドという名の監督はいいね。(リンチとクローネンバーグのことだよ。デビッド・ボウイも好きだけど映画監督じゃないよ。) テーマはシンプルに「トモダチっていいね」ということ、だと、ボクは感じたよ。facebookには登録者が世界に5億人いるらしいけど、5億人もトモダチ要らないよね。ボクは3人いれば充分だよ。一人でもいればアリガタイと思うよ。そういうもんだろトモダチって、というあたりがこの映画のテーマだと思うよ。そんなこんなことを考えて行くと、じゃあトモダチっ何だってとこへ行くよね。そうなんだよ、ソコヘ連れて行かれちゃうんだよ、この映画は。どう? いい映画だと思わない? 観てみなきゃワカンナイよ、そりゃ。...</description>
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<title>855_坂の上のクモ</title>
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<description>渋谷のユーロスペースで映画を観たのは何年ぶりだろう。思えば、ボクが足繁くユーロに通っていたのは桜ヶ丘の坂道にあった頃だ。南口の歩道橋を渡って坂道をちょこっと上った右側さ。今は円山町のホテル街の坂道にある。文化村と百軒店(ひゃっけんだな)の中間だね。渋谷の街も変わったけど花街の妖しさはまだ残っていたよ。やっぱり欲望の渦が街を支えているんだね。 [海炭市叙景](熊切和嘉監督)は、無骨な地域おこしシネマで悲愴な群像劇だったよ。ザクザクと刺激的で、とても印象に残る身につまされエピソード集だけど、あたらしい手口ではないな。群像悲劇なら[ショート・カッツ]から始まって[マグノリア]や[クラッシュ]など、もういろいろ(上手に作ってるやつを)観てるからね。[海炭市叙景]の原作小説(佐藤泰志著)は読んでないけど、映画のストーリーはカリカリに悲愴なんだ。日常生活をこんなにネガティブに捉えるなんて、(この映画は)よっぽどの深いテーマを抱えているんだろうね。感傷というより絶望なんだよ。どうすりゃいいのさ普通の人々。「でもこれが現実だから、へこたれないでガンバッテね」というメッセージだとしたら、けっこう冷酷な態度だと思うよ。これが庶民に向けた応援歌だとしたら、れっきとした庶民であるボクには届いてない。出口なしのどん底シネマだと感じちゃうんだ。今はこういう気分じゃないんだよ。ヒトは馬鹿て愚かで欲深いけど、みんな滑稽でカワイイじゃないか。悲愴劇じゃなくてエスプリの利いたリアルな人情劇を観たいんだよ。頼むぜ。でもね、知ってる役者さんが出てくると、とてもホッとするという救いはあったぞ、[海炭市叙景]。ありがとう、加瀬亮クン南果歩さん小林薫さん。 「叙景」って風景描写っていう意味らしいよ。渋谷のホテル街の風景は朝からナマナマしくて好感が持てたよ。...</description>
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<title>854_ゴミならば。</title>
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<description>燃えないゴミより燃えるゴミになりたいと思う。最後には焼却炉でボウボウと威勢よく燃やされて灰になってしまいたいから。 燃えないゴミは燃えないゴミのまんまなんじゃないかと想像していたたまれなくなる。...</description>
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<title>853_グリコの夏</title>
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<description>モノをあげるのは快感なんだと誰かが言ったよ。贈与は愛の基本らしいし。 タダてあげる、無償で奉仕する、と、なんだか充足感があるよ。イイコトをしたって思えて、気持ちがスカッとするね。 こういうことって本能なんだろうか。動物も無償行為をしているんだろうか。していると思うな、お金払ってるの見たことないもんな。 原始時代の石のお金は重たくて払うの大変だったろうね。軽くて小さな紙のお金も払うの大変だけどね(ボクは)。...</description>
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